【インターネットTV局カウテレビジョン トップリーダー対談】(2014年6月公開)
グロービス大学院 堀義人学長
経営大学院 「グロービス」とは?
ゼロから始まった経営大学院で、1992年に始まり東京・大阪・名古屋・仙台、2013年からは福岡に開校。
現在では日本でナンバーワンの経営大学院。規模2013年の定員が480名になっている。
日経新聞が行ったMBAに関心がある方のランキング東日本1位の評価を受けた大学院。
『社員が納得して働くユニークな人事制度とは?』
それは「希望を100%かなえる人事制度」
一時期組織が不安定になった時、みんなが「やりたいことじゃなかった」と不満を言い始めた。
「分かった!不満を全部解消してあげましょう」と
「皆さんがやりたいものを全部やらせてあげます」「自分の希望を出してくれ」と言った。
そして、全部希望通りにした。
「全員が希望を出して、その希望通りに出来る」と言ったので、
ふつうは(希望が)偏った方向に行くんじゃないかと思った。
しかし、経理がやりたい、営業がやりたい、システムがやりたいと、みんなきれいにバラけた。
足りない部分は外部から採用して補充した。
そういうもんなんだな、面白いなと思った。
みんながやりたいものが必ずしも偏っているわけではなくて、
適材適所に自分たちがやりたいものが見つかってきて、
その分野を伸ばしていくということをやると、ものすごく安定することが分かった。
入社時も「どこに行きたいの?」と必ず聞いて、希望をかなえてあげる。
ところがこれをやり続けると、今度は本人自身の成長が止まってしまう可能性が出てくる。
ここで、成長を止めない為の『天の声』を出す。
「あなたはこっちに移った方がいいよ」ということを会社側からいうわけですが、
成長が止まったな、もっと違うことをやらせてあげたいという場合にだけ
天の声だと言って移動をやります。まぁ、あんまりやらないですが。
成長がもっと出来る場があると思った場合にはやりますし、
「福岡プロジェクトか仙台プロジェクトとかシンガポールをやりますが、
誰か手を挙げてどうぞ」ということはやります。
住友商事にいて思ったことは、納得しないことをやると失敗するということ。
「自分がやりたくないことをやると失敗する」という気持ちがあって
グロービスでも納得しないことはやらなくていいと言っている。
納得しないことをすると大概失敗して
「ほら言ったもんか」「だから上手くいかないと思ったんだよ」と自分の思っていることを正当化して
失敗したことが当たり前のように思ってしまう。
だから「やりたいことをやらせてあげる。自分が正しいと思うことをやりなさい納得しなかったらやらなくていい」
そういった自分の感情とか、やりたいという願望とか、自分が正しいと思うことを、最優先でやらせてあげる。
これが、経営的にうまくいくと思ったからやったんですが、やっぱりそうでした。
社員の納得感を高める為に、徹底的にコミュニケーションをとっている。
納得していないということは、その本人が悪いわけではないかもしれない。
組織全体の設計が悪いのかもしれない。
納得していない場合には話をしてもらって、合理的な話をする。
もしかしたらその人の言うことが正しい場合もある。貴重な意見。
もしかするとその本人も誤解をしている場合もある。十分な情報がなかったことが原因の場合もある。
そして一度納得をすると、今度は全員が一丸となって進める。
そういったコミュニケーションを重視している。
全員が納得して、喜んでやりたい、こういったことがしたいんだという願望に基づいて、
創意工夫しながら進んでいくという会社がやっぱり強い。
人が働きたいと思うのは、
① いい仲間がいて②やりたいことが出来て③自分の能力が高まって
④社会に貢献できている実感があって⑤年棒とか年収が妥当である
この5つが幸せに伸びていくことだと思うので、会社として一所懸命考えている。
グロービスの年棒の決め方は、
「社員がこれだけ欲しいという年俸を自分で提示する」
これだけの年俸が欲しいということを言って、なぜかという根拠を挙げて出す。
それを『360度評価』と『マネジメント・バイ・オブジェクティブ』という目標管理制度をもとに
結果をヒューマン・リソース・コミッティ人事委員会にかけ、その人事委員会の判断によって
カウンターのオファーがあって、会社はこう考えますと伝える。
もしも不満があった場合には、不服申し立て制度があるので、不服をいっていい。
こういったプロセスを通して決めていく。
基本的には世間相場という市場を見たうえで、評価の期待に対して年棒を出すと決めている。
最後合意があったらサインをする。
不服があった場合には不服申立制度を出すが、
人事委員会の上長との交渉ではなく、自分で交渉相手を選べる。もちろん学長もそれに含まれる。
トップを指名してもいいし、人事のトップ、執行役員を指名する場合もある。
なぜ選べるのか?もしかしたらその人が言っていることの方が正しい場合もあるかもしれないから。
人事委員会が100%正しいわけじゃない。
だから話を聞いて、最終的にこう考えると結論を出して、
納得しなかった場合には、辞めていく、それはしょうがない。
1年のある期間、4月が年度末で人事的には6月の間の中で行っている。
※「人事委員会」
人事委員会は4人+部門のトップ。代表と人事部のトップ。あと2人は最大の部門のトップ。これに加えて当該部門のトップが加わってそれで決まる。
※「360度評価」
十数人の同僚であったり、上長や部下にそれ(360度評価)を受ける、僕も受ける。「ギフト」と言っています。自分が何が良かったかがわかるし、悪かったこともわかる。コメントを見るともっとこういうことした方がいい、こういうことを考えてほしいなど書かれている。数千のコメントが入ってくる。
※マネジメント・バイ・オブジェクティブ(目標管理制度)
上長が毎四半期1時間1人に対して時間を使う。この部分に時間をかけることによって、すり合わせが出来、最終的に時間が省略できる。同じように人事制度においても、そういったプロセスを経ると時間をものすごく膨大に使うが、納得感が生まれるし、不満があった場合には吸収できるし、違うところに異動したいと思う場合は異動できるし、自分の足りない点に気付かされるし、能力を向上したい方向性が見えてくる。そういったプロセスを経て1年間のやるべきことが決まってくる。最終的にはかかる時間は短くなる。
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株式会社カウテレビジョン
カウテレビジョンは2004年企業専門の映像制作会社として創業。インターネットTV局という客観的なメディアをもち、企業の主観による情報発信ではなく”客観的な情報発信”をお手伝いすることを主眼に、報道ドキュメンタリーの形式による取材を心がけています。
◎インタビュアー:高橋康徳
元テレビ西日本(フジテレビ系)報道記者。911テロ取材をきっかけに独立を決意。
ニュース・ドキュメント番組の制作実績4500本。世界で活躍する日本人経営者をインタビューし、インターネットテレビ局で配信中。
会社紹介・各種イベント・周年行事・商品紹介・海外での事業展開など、数々の密着リポートを行っております。
会社の『価値を伝える』お手伝いをすること、それが私たちの仕事です。